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漢方アラカルト

漢方とは

『漢方』という言葉の由来をご存じでしょうか。江戸時代にオランダからもたらされた西洋医学を蘭方と称したのに対し、中国から伝えられた医学は漢方と呼ばれました。

漢方の起源は古く、約二千年前の中国で確立され、それが現代にまで伝えられた伝承医学です。日本には遣隋使、遣唐使などのやりとりのあった奈良時代に伝来し、室町時代の頃から実地の医療として定着したと言われています。そんな古臭い医学なんて...、と思われるかもしれませんが、効果的で実用的な医学であったからこそ、二千年もの間、脈々と受け継がれてきたのです。

漢方の味

最近の漢方ブームで漢方を求めて来院される患者さんが多くなりました。しかし漢方がどんなものかも知らずに健康イメージだけでいらっしゃるため、その味やにおい、薬の量にびっくりされる方も多くおられるようです。漢方は西洋医学のようにカプセルや錠剤のような形状ではありません。自然界に存在する様々な植物、小動物、鉱物などを原料として、大きく手を加えず薬として使用するわけですから、自然そのものの素朴な味をしているのです。

漢方の味には「辛い」「甘い」「苦い」「酸っぱい(すっぱい)」「咸っぱい(しょっぱい)」の五つの味があります。

辛 味:生姜やとうがらしに代表される味です。
作用:体表の寒さ、風、湿などを発散して、気を通す作用を持つといわれています。
肺の衰弱に良いとされるので、風邪の漢方は辛い味のするものが多いです。しかし気鬱の傾向にある人はこの味を多く取りすぎてはいけません。また、むやみに好んで過食すると筋肉が痙攀したり、爪が弱くなるともいわれています。
甘 味:菓子や果物に代表される味です。
作用:体に力を与えたり、痛みや味を緩和させる作用があります。
胃腸疾患には甘みのある漢方薬を処方しますが、だからといってお菓子類は胃には良くありません。過食すると骨が痛んだり、髪が抜けやすくなるといわれています。
苦 味:ふきのとうなどの味です。
作用:熱を取ったり、鎮静する作用があります。
胃炎や自律神経の興奮などによく使われます。しかし骨が弱い人は多く取りすぎてはいけません。過食すると皮膚がかさかさするといわれています。
酸 味:梅に代表される味です。
作用:行過ぎを抑えて、固めるといわれ、下痢や出血の止まらない時に使われます。
筋肉を痛めている人は多く取らない方がよく、過食すると筋肉がやせたり、唇がかさかさするといわれています。
咸 味:塩辛に代表される味です。
作用:固い物を軟化し、柔らかくするといわれ、腫瘍や固い便を柔らかくするのに使われます。
血の病の婦人は多く取らない方がよく、過食すると血が粘って、顔色が悪くなるといわれています。

体質にあった漢方

私は東洋医学的な診察法に基づいた、舌診や脈診、様々な問診から患者さんの体質を判断し、できるだけ「あなたの体質はこうなのだ。」と説明するように心がけています。

最初はけげんそうな顔をする人も、納得すると新しい自分を発見したかのように嬉しそうにされます。例えば、手足がよく冷える人は自分が冷え症だと自覚できます。しかし四肢が冷えるわけでもなく、暑がりで汗かきだったりすると、体の冷えている事などなかなか意識できません。こんな人が下痢をしたり、お腹が痛くなっても冷えのサインとは気がつかないのです。

実は冷えは水湿と結びつきやすく下痢、腹痛などの消化器症状を非常に起こしやすいのです。このような人は冷え症だと教えなければ、冷たい飲み物、果物などを常に飲んだり食べたりし、ますます冷えの状態を作って行きます。これではいくら薬を飲んでも下痢や腹痛は治りません。冷え症だという事を理解した上で日常の養生をし、特に脾胃と呼ばれる消化管を温める作用のある漢方を飲む事で、冷えの体質を変えることができるのです。これが漢方の持つ体質改善作用と言われる考え方です。

また、冷え症からはこの他、アレルギー性鼻炎や喘息なども起きます。ですからその人の体質に合った漢方を飲み、また養生をしてゆかなければ、いつまでたっても慢性病からはのがれられないのです。自分の体に目を向け、興味を持って体質の改善をすすめていかなければなりません。

漢方の効き方

漢方はどんな疾患によく効くのでしょうか。体質からくる慢性疾患、たとえばアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー体質によって起こる病気、冷え症や虚弱症などの先天的な素質による症状などに非常に効果があり、病気に負けない体質をつくってゆくことができます。また湿疹、蕁麻疹などの様々な皮膚疾患、不妊症、生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症、更年期障害などの婦人病、肝炎、高血圧、腎炎などの慢性成人病、自律神経障害から起こる様々な心身症、そして鍼灸を併用することでより効果の上がる骨関節疾患など実に数多くの疾患で漢方は驚くほどの効果があります。

東洋医学には標治(ひょうち)と本治(ほんち)という考え方があります。標治とは現在表面に出ている症状を改善する事で、本治というのは根本的に体質を変えて、薬をやめても症状が出なくなるまでに治療することです。例えば花粉症のそのシーズンだけの鼻水、くしゃみを取るのが標治で、来年に症状が出ない体を作るのが本治というわけです。当然、標治は短時間でしかも簡単ですが、本治にはかなりの時間を要します。だから漢方を飲めば、すぐ改善するんだと思っている人から、なかなか効かないじゃないかという声も聞かれますが、長年の慢性疾患であればあるほど、体質を変えたり、症状を取ったりするのに時間はかかるものなのだという事を充分に理解していただきたいと思います。また日常の養生なしに効果は上がりにくいものなので、医者まかせの姿勢でなく、自分でも治すんだという意欲をもって、共に病気と取り組んでいくというのが最も早く治る近道なのです。

各疾患に対する漢方

代表的疾患に対する漢方方剤を簡単にご紹介しましょう。

アレルギー性鼻炎

  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
  • 麻黄附子細辛湯(まおぶしさいしんとう)
  • 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

アトピー性皮膚炎

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • 消風散(しょうふうさん)
  • 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

気管支喘息

  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
  • 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
  • 柴朴湯(さいぼくとう)

更年期障害

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

高血圧

  • 大柴胡湯(だいさいことう)
  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
  • 釣藤散(ちょうとうさん)

冷え性

  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅうゆしょうきょうとう)
  • 五積散(ごしゃくさん)
  • 真武湯(しんぶとう)
  • 人参湯(にんじんとう)
  • 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)