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河崎医院たより「あけび」2016年2月 83号 特集『老年症候群/冬の感染症予防』

新春節分の2月です。カゼなどが流行する寒い時期ですから気をつけてください。今回は前回に続いて高齢者の様々な問題である「老年症候群」を東洋医学的に考えます。

老年症候群

老年症候群

あけび82号で取り上げた「サルコペニア」は高齢者特有の筋肉減少症ですが、それ以外にも老人に多発する病態は転倒、失禁、脱水、栄養障害、嚥下障害、失神、誤嚥、認知機能障害、褥瘡、寝た切りなど様々あり、「老年症候群」と呼ばれています。多くの臓器、疾患が関与した症状、疾患であり、加齢に伴う諸器官の生理的機能低下や体動の低下に伴う廃用症候群が中心になっています。日本の平均寿命は延びていても、健康寿命という自身の力で生活ができる年齢は平均寿命より10歳程度短くなっています。老年症候群を防ぎ、健康寿命をどう延ばすかということが、これからの日本の喫緊の課題です。漢方は古代中国に発祥した伝統医学ですが、中国は不老長寿を追求してきたお国柄だけあって、漢方にはこのような老人症候群に対する考え方が多くあります。今回はそれをご紹介します。

 

老年症候群を漢方医学の考え方で予防しましょう

(1)腎気を養いましょう。
加齢による心身の変化は東洋医学では腎気の弱り(腎虚)と考えています。腎は泌尿器的な役割以外に、生命エネルギーの根幹とも考えられ、性ホルモンとも関係した働きをします。老年期になると腎虚となり、気・血・精を供給することが出来にくくなります。その結果として、腎の府とよばれる足腰の痛みや脚力低下、だるさなどが現れてきます。同時に冷え症や頻尿などを伴う時には八味地黄丸(ハチミジオウガン)牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)という腎気を補い、冷えを改善する薬が効果的で、実験的にも下腿筋肉の萎縮を改善した結果も出ています。中国では動物性生薬である亀の甲羅の亀板膠(キバンキョウ)や鹿の角である鹿茸(ロクジョウ)といった動物性生薬も貴重な補腎の薬としてよく用いられています。スジ肉や豚骨などコラーゲンが豊富な肉類を食卓に取り入れることも同じような意味があります。同時に筋肉を鍛える運動を日常的にしながら、入浴で身体を温めて下さい。

(2)心気を納めましょう。
腎と精神をつかさどる「心」はお互いを制御しあっています。腎気が弱くなると、心の働きが抑えられなくなり、イライラしたり、短気になったり、夜に目が冴えて眠れなくなるなどが出てきます。柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)はそんな症状に効果的です。同時に天の気である自然に親しみながら、腹式呼吸で気を巡らせましょう。

(3)血を巡らせましょう。
動脈硬化でもある瘀血オケツは老化で身体の隅々まで及んできますので、脳血管障害や腎障害と共に四肢のしびれ感や痛み、冷えなどに繋がってきます。温経湯(ウンケイトウ)は高齢女性に適した漢方で血流を改善し、身体を潤し、温めます。阿膠(アキョウ)というロバなどの膠も同様の働きが有名です。全身の瘀血の延長線上に認知症が起こってくることも珍しくありません。抑肝散(ヨクカンサン)は認知症の周辺症状に効果があり、西洋医学分野でも評価されています。

 

 

■ 冬の感染症予防

温度が低く、乾燥している冬の時期はインフルエンザウイルスやRSウイルス、胃腸炎を起こすノロウイルスやロタウイルスなどさまざまな感染症が増加する季節です。感染しないよう予防する知識をつけておきましょう。

冬に流行する理由

冬は温度や湿度が低くウイルスにとっては居心地のいい状態です。そのうえ、空気が乾燥しているのでウイルスが空気中に浮遊しやすくなります。私たちの体も体温の低下に伴い免疫力が下がりウイルス感染しやすくなります。

ウイルスの特徴

インフルエンザウイルス・・・38度以上の高熱、頭痛、関節痛、倦怠感などの症状がみられます。

・RSウイルス・・・咳や鼻水、発熱などのカゼ症状が1週間ほど続きます。乳幼児がかかると重症化することもあるので要注意です。

・感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)・・・吐き気・おう吐・下痢などの激しい症状が見られます。2~3日で回復することがほとんどですが、乳幼児や高齢者は脱水を起こすこともあります。。

予防法

・手洗い・うがい・・・外出後は必ず行いましょう。手洗いは石鹸を使い指の間や爪の際、手首までしっかりと洗いましょう。うがいは15秒以上かけて喉の奥までしっかりと行いましょう。

・マスク・・・鼻から口、あごまでしっかりと覆い、顔との隙間ができないようしっかり押さえましょう。自分に合ったサイズを選ぶことも重要です。使用後はできるだけマスク本体を持たずに外し、すぐに捨てましょう。

・免疫力をつける・・・食事と睡眠をしっかり取って免疫力を高めておきましょう。

感染を広めない

・ワクチン接種・・・インフルエンザには予防接種があります。感染しないよう、またかかった時に重症化しないよう早めに予防注射を受けておきましょう。

・咳エチケット・・・咳やくしゃみの症状がある時は感染を広めないよう『咳エチケット』が推奨されています。①マスクをする。②咳やくしゃみ時はティッシュやハンカチで鼻と口を押さえる。③使用したマスクやティッシュなどは蓋つきのゴミ箱に捨てる。④外出を避ける。

・感染性胃腸炎の場合は特に注意が必要です。家族が感染したら必ずマスクと手袋を着用し、汚物処理や消毒を行いましょう。トイレ、お風呂、ドアノブ、使用したタオルなどは要注意です。

☆次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)の消毒
・便やおう吐物の処理・・・500mlのペットボトルの水に対してキャップ1杯(5ml) [0.1%]
・便座やドアノブなどの消毒・・・500mlの水に対してキャップ2杯(10ml) [0.02~0.05%]
(作ったらできるだけ使い切るようにしましょう。最近は使いやすいものも市販されています。)

 

■ 今月のおすすめ 

《ティートリー》

殺菌力・抗ウイルス力は強いのですが、体への安全性が高いので安心して使用できます。うがいをしたり、スプレーや専用の加湿器で空気洗浄など幅広く使えます。精油はもちろん、ハーブウォーターも簡単に使えておすすめです。

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ティートリーウォーター
¥2,370(税込)

2月 27日(土)  診察 12時30分まで