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河崎医院たより「あけび」2014年5月 62号 特集『血の道症/認知症にアロマセラピー』

青葉がまぶしい新緑の5月です。玉ねぎ収穫~田植えの農繁期でもあり、皆さん忙しそうです。田んぼが急に早苗に変身する姿が美しいですね。今回は日本独特の女性医療の考え方『血の道症』を特集します。

■ 血の道症

血の道症は女性疾患を総称する日本だけの考え方

「血の道症」というのは日本独自の女性に対する漢方の考え方です。江戸時代の≪牛山活套ギュウザンカットウ≫という書に「婦人産後は気血を補うべし、産後血の道持ちとて生涯病者なる者あり。」と記され、これが最初の出典といわれています。その後月経に伴う疾病や、産前産後の諸症状、更年期障害を指して「血の道症」と総称するようになってきました。特に女性は月経や、出産や授乳に伴って様々な不定愁訴、精神症状などをおこしやすく、そのような心の症状を「血の道症」ということもあります。これは漢方発生の中国医学にはみられない考え方です。「血の道症」は平易なことばなので、段々俗語としても広まっていき、それを治療する多くの民間婦人薬が登場することになりました。

血の道症の血とはなに?

女性ホルモンの変動によってもたらされる婦人病は、血と関係した病理でおこるという認識から「血の道症」ということばが出てきたと思われます。それでは血とは東洋医学で何を指すのでしょうか。血とは血管内を流れている液体成分で、体中の筋骨、皮膚、臓腑等に栄養を供給する役目があります。血は気の先導の元に一緒に血管内を流れていると考えられており、血は営気(えいき)ともよばれ、気の形態の一種とも考えられています。そのことから血に滞りがあると気も滞り、血が虚してくると気も虚してくるというようなことが起こりやすくなります。血の病的な状態には瘀血(オケツ)と血虚(ケッキョ)があります。瘀血とは血の循環障害のことで、月経のある女性には特に起こりやすい病態です。瘀血があると、月経障害や精神愁訴、肩こり、様々な痛みなどが起こりやすく、顏色のどす黒さ、舌下静脈怒張、左右下腹の圧痛などが瘀血サインとされます。血虚とは血の虚衰のことで、出産や授乳、月経過多など血をすり減らすことで生じやすく、ふらつき、しびれ、皮膚乾燥、顔色不良などが血虚サインとされます。

血の道の薬は婦人病にどう使う?

婦人病は月経障害や子宮筋腫、内膜症、出産や流産後の体調不良、精神症状、更年期症状など多彩にあり、現れる症状も痛みや月経の量の問題、精神症状、のぼせなどそれぞれに異なっています。しかし根底には血にまつわる異常の「血の道症」があるという認識から、治療の選択肢として、まず瘀血の薬である桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散、また血虚の薬の当帰芍薬散、加味逍遙散などが用いられます。また血の異常は気の異常も引き起こすので、気滞や気逆を調整する漢方を併用したり、倦怠感などの症状には補気したりします。婦人は冷えを訴える方が多く、冷えが婦人病を悪化させることもあるので、温める漢方を同時に用いることでも気血のめぐりを改善させます。このように「血の道症」を中心に治療戦略を立てると、病態回復が早くなるのが婦人病の特徴といえます。

 

■ 認知症にアロマセラピー

前回(61号)では『香りの働き』という題で香りが心身にどんな影響をもたらすかということを紹介しました。今回は香りを用いるアロマセラピーが認知症にどうして効果的なのか紹介したいと思います。

どうしてアロマセラピー?

アロマセラピーでは植物の香りの成分(芳香成分)を抽出した精油とよばれるものを用いて行います。精油の芳香成分は気持ちを落ち着かせたり、緊張を和らげたり、痛みや炎症を抑えたりという薬理効果をもたらします。この薬理効果を目的に行うのがアロマセラピーです。
認知症に効果的と提唱されている日中と夜の精油の組み合わせがそれぞれどんな精油なのかみていきましょう。

朝・昼の精油

・・・脳の働きを活発にし集中力や記憶力を高める作用のあるもの
・ローズマリー・カンファー
スパイシーな香りの精油です。交感神経を刺激して血行を促進させます。体を温めたり、集中力や記憶力を高めます。刺激の強い精油なので、高血圧症の方やてんかんの方には注意が必要です。
・レモン
さっぱりしたレモンの香りは気持ちをすっきり元気にさせてくれます。血行促進効果があり、新陳代謝を高めたり、集中力、記憶力を高めます。消化器系の働きを高める作用もあります。

夜の精油

・・・気持ちを落ち着かせる鎮静作用の強いもの
・真正ラベンダー
やさしい植物の香りで鎮静作用の高い精油です。不安感を和らげたり、イライラを抑えたり、気持ちを落ち着かせてくれます。また、頭痛や生理痛の痛みを和らげたり、炎症を抑えるなど様々なところで役立つ精油です。安全性の高い精油で子供から高齢者の方まで安心して使うことができます。
・スイートオレンジ
爽やかなオレンジの香りで気分を明るくさせてくれます。精神的な興奮状態や不安感が強いなど神経が過敏になっている状態を落ち着かせる作用があります。パニック症の症状を和らげる精油としてよく用いられます。消化不良や胃の不快感も軽減します。

だからアロマセラピー

精油の強壮作用や鎮静作用を用い日中と夜の生活リズムをつけることは、認知症の方にとても有効だと考えられます。このほか、興奮状態の時やうつ的状態の時など様々な症状に合わせて使用することもできます。芳香成分は呼吸によって体内に取り込まれるのでディフューザーやルームスプレーで部屋に拡散させたり、キッチンペーパーにつけて胸ポケットに入れておくのもおすすめです。

 

■ 今月のおすすめ 

精油

一本からでも一度お試しください。
・ローズマリー・カンファー  ¥1,620   
・レモン  ¥1,404             
・真正ラベンダー  ¥1,728      
・スイートオレンジ  ¥1,188 

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5月は診察時間の変更はありません。(GWはカレンダー通り)