私達は個々に体格や顏が違っているように、身体の体質も異なって生まれてきます。これを東洋医学では“先天の気”といいます。そして生きていく過程の中で周囲の環境や飮食の形態、自然からの影響など様々な因子によって個々の体質もまた変化していきます。この生まれてから獲得していく体質を“後天の気”といい、先天と後天の二つの気によって体質が決定されてゆくと、漢方では考えています。
  しかし体質は一定のものではなく、年齢変化によっても、季節に応じても変わっていきます。今のように医学が発達する以前は病気を予防するということが何より大切なことでした。一旦病気になれば、原因も定かでなく非常に致命率が高かったからです。ですから気候変化に対する備えや飲食の戒め、気を高める体操など様々な養生法が日常に取りいれられ、受け継がれてきました。自分の体質を知り、心穏やかにして自然と調和するというのが、理想的な生き方とされたわけです。そこには人が自然のなかに生かされている動物に過ぎないという自覚があり、自然や神への感謝と畏敬の念が根底にあったと思われます。現代人は発達した社会制度の元に自分が動物であることすら忘れ、好き勝手な生活をしています。そのことが知らない間に、人の免疫力や自然治癒力を低下させているのです。東洋医学は様々な診察法を通 じて個々の体質を診断し、漢方処方を考えると共に、養生法も指導していく医学です。今の病気だけでなくこれから起こる病も自分の力で防いでいきましょう。