東洋医学は二千年以上前の中国からもたらされた伝承医学です。その当時はたいした医療機具もなく、診察は医師の五感に頼っていました。舌や脈、腹部の診察はその頃に確立された四診という方法を今でも使っています。四診には望診、聞診、問診、切診があります。この様に丁寧に診ることによって、各人の体質だけでなく、気血水や精神の状態、病気の種類などが把握されていくのです。もちろん医学の進歩した現代では、その上に様々な現代医学的検査も取り入れより精密な情報が得られるようにもしています。

望診(ぼうしん):目で患者を観察する方法
(1) 精神状態や顏の色艶を診る。
 その人の雰囲気などから、神色と呼ばれる精神状態や顏の色艶や表情などをみて病気を判断する。輝きがあり明瞭であれば良好で、元気がなく顔色もすぐれず、目に力がないなどは病気の徴候である。

(2) 患者の姿勢や形態を診る。
 体つきの強弱、肥満や痩せ、動きなどを観察する。発育よくがっしりと引き締まっているのは体質が強く、発育悪く痩ているのは虚弱な場合が多い。太く色白で筋肉が柔らかいのは水湿多く寒がりで、痩せて色黒で皮膚がかさついているのは内熱が強く、乾いている。

(3) 舌の様子を診る。
 舌質と舌苔に分けて観察する。舌質の色や形、運動の様子、舌苔の色、つきかた、厚さ、湿り気の具合などから、どの臓器が障害されているか、病邪の程度や位置はどうか、患者の体質、体力はどうかなどを診てゆく。
1、 舌神
 舌全体から受ける印象のことで、赤くて潤いがあって、生き生きとつやがあるのが健康で、舌が乾き光沢がなく、生気の感じられないのは病的と考える。
2、 舌色
 舌の色を診ることで、赤いのは熱が豊富なことを示し、赤黒くなると熱のために乾燥状態が生じている場合が多い。淡白色は冷えや気血両虚の時にみられる。紫色は強い冷えなどが体にある時にみられる。
3、 舌形
 舌全体の形をみることで、老(ろう)は舌がきめ細かく引き締まった感じがすることで、体力の充実した人が多い。嫩(どん)は舌が柔らかく潤いのあるもので、虚弱な人や冷え性の人に認められる。歯痕は舌の辺縁にみられる歯による圧迫痕で、気虚でみられやすい。痩薄は舌が痩せて小さくなったり、薄くなっているもので、長期の慢性疾患でよくみられる。裂紋は舌面にみられる溝のようなしわで、体の水分が少ない陰血不足で認められる。
4、舌苔の色
 白苔は風邪の初期か冷えの時にみられる。黄苔は熱症や裏熱の強い時に多い。灰苔は体に病的な痰飲という水分が多い状態を現す。
5、舌質
 薄い苔は病気が軽症で初期の段階を示す。厚い苔は病邪の勢いが盛んな状態よくでみられる。滑苔は湿り気のある舌で、身体の湿や冷えの強い状態を示す。燥苔は乾いた苔のことで、身体湿熱、湿毒が盛んな状態で多い。剥落苔は舌苔が一部剥離している状態で、胃の不調などで現れやすい。